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森茂川流れ込みへカヌーで行く : 2003:9/6

森茂川流れ込みへカヌーで行く

御母衣ダムはナギでした

先週に引き続き、森茂川流れ込みへ

先週に引き続き、今週も森茂川へ来ました。
先週は移動に時間がかかってしまったため、森茂川の源流部の枝沢に入りました。
しかし、どうしても流れ込みの状態を確認をしたくて、2週続けての釣りです。

ルート

実は、私はこんなことをしている場合ではないのです。
親父が寝たきりの状態で、療養型病院に入院しているのです。
もちろん、毎日訪問し介護を続けています。
訪問時間が夜間のため、介護をしてからそのまま御母衣ダム湖まで来てしまいました。

また夜間に訪問しますので夕方5時までには、ここを出発して病院へ向かいます。
実にあわただしいのですが、釣り人の性でしょうか。自分でもあきれ返りますが、息抜きも必要なんです。

今回もオカマのヒーちゃんと一緒です。
先週あれほど怖い思いをしたのに怖いもの見たさでしょうか。何かただならぬ予感がします。

カヌーは、御母衣ダム湖東岸にあたる落部川から北へ1キロほどのワンドから入船しました。
朝8時、水量が少なく入船までにはかなり難儀をしましたが、風も無く、穏やかな 湖面を順調に森茂川に向かって進みます。
入船場所から森茂川の流れ込みまでは、約6キロの行程となります。

森茂川へのワンド内は、鳥とシラメの宝庫
鴨
ミサゴ
ミサゴ

入船してから1時間で森茂川からのワンドに到着しました。
いきなり、ミサゴとの対面です。鳶より小さいのですが、 とても精悍な顔つきで目を合わせるなりいずこへと飛んでいってしまいました。
ワンド内は、人が訪れる事がまずないために、鴨類などの野鳥の宝庫です。
名前を調べてないので何という鳥なのか分かりませんが、 突然の侵入者に右往左往しています。

河鵜?
川鵜

首の格好と黒い羽の色から川鵜です。
滋賀県の琵琶湖から飛来するそうです。
長良川など、鮎の多い河川での、川鵜による食害が深刻です。
飛ぶときは、首をまっすぐにして飛びます。

初めての森茂川流れ込み 、 異様な光景の森茂川流れ込み

これは、六厩川から見た森茂川流れ込みです。
左側が六厩川、右側奥が森茂川流れ込みです。
減水しているため、異様な光景です。

森茂流れ込み

左側には幻の六厩橋が見える。右が森茂川流れ込み

こちらは、森茂川から見たワンド内の様子です。
森茂川の流れ込みには大量の土砂が堆積しており、その土砂の中を川が 流れている格好となっています。
右側奥が森茂川になり、左側奥が六厩川方向です。

森茂川ワンド

森茂川流れ込みへは、なかなか来られない
流れ込み付近

どのような方向から、どのような方法で来ても、ここに立つためには2〜3時間ほどの行程を、歩くか、 船を漕ぐかいずれかの方法で来る事になります。
道路も土砂で埋まってしまい、車で来られないからです。
今では、ここへ来られる方はあまりいないと思います。

瀬

毛ばりの針はカエシが潰してあります。
簡単に魚を針からはずす事が出来ます。
魚に触れることなく、針先を手で持ってゆすってやると簡単にはずれます。
私は魚を食べないので、釣った魚は写真を撮り、元の場所に返してやります。
針にカエシがあると、簡単に魚が外れないため、魚体を手で持つ事になります。 魚体を手で持つと、魚の体温は水温と同じため、それだけで火傷をしてしまいます。 水生菌が繁殖し魚が苦しむ原因にもなるため、カエシを潰して魚が針から簡単に外れるようにしています。

森茂川から六厩川に立ち寄り、入船場所を目指す
昔は、森茂川流れ込みへは車で来られました

これは流れ込みから1キロほど上流部分です。
満水時ですと、ここは水没してしまいます。
30年ほど前には、写真の右側奥のところまで車で来られました。
現在では道路が寸断されているために森茂峠からですと約2時間、六厩川からは約5時間、 御母衣ダム側からは山越えで4時間を要します。
森林伐採がかなり進んでいるために、ご覧のとおり土砂が大量に堆積しています。
森茂川は、ほとんど瀬ばかりの川になってしまいました。

森茂川

見た人も少ない!六厩(むまや)川流れ込み

六厩橋

↑数多くの冒険家が、この橋見たさに、歩いて挑戦した幻の六厩橋

帰り時間の事もあり、1時間ほどで釣りを切り上げて帰路につくことにします。
途中、8月に来た六厩川に立ち寄る事にしました。

六厩川橋・地図には表示されているが、道路が寸断されているため渡る事が出来ない。このため幻の橋と言われている。酷道マニア垂涎の橋。 渡ったものは英雄になれる不思議な橋

ダムは大きく減水しているため、釣り橋付近が六厩川の流れ込みとなっています。 釣り橋の名称は六厩川橋です。
森茂と牧戸とを結ぶ道路として地図にも載っています。 しかし、既に昭和45年頃には隋道が埋まっていて、車での通行は出来ませんでした。 近年、この地方を襲った集中豪雨のため隋道は完全に埋まり、道路も崖崩れのため寸断され人も通れなくなりました。
吊り橋は開通当初からあったようですが、道路として機能していたのはほんの僅かな期間のため、一体何人の人が吊り橋を渡った事でしょうか?。

いざ出発

しかし、今回は気になっていた川を観ることが出来非常に満足しています。
これもオカマのヒーちゃんが一緒に来てくれたお陰です。
カナディアンは二名乗員で一定の推進力を得られますが、一名乗員ではまっすぐ進む事も難儀になります。
一時は、隋道の上を山越えする事も考えましたが、こうしてカヌーを漕いで来られました。
親父の介護に向かうため帰路を急ぎます。2時の入水ですからこのまま順調に漕ぐ事が出来れば充分間に合う時間です。

オカマのヒーちゃん、御母衣ダム湖で再び死ぬほど怖い思いをする。

御母衣ダム湖は標高が800メートルほどです。
このため山岳地帯特有の山風が吹きます。
午前中はナギでも、午後からは太陽に温められた空気が動き出し、山へ向かって風が吹きます。
多少の風であればなんとかなりますが、気圧の谷が通るような状態では組み立て式カヌーは危険です。
船体が軽いため横風に弱く、また波を横から受けると不安定になり転覆の危険性も高くなります。
帰りの行程がちょっと長く、風が出ていなければいいのですが。

ワンド内は西風が吹いて、波が立ってきた

ワンド内を進み、ダム湖の中心部に近づくにつれて、なにやら波が立ってきました。
西方向からの風です。
危険回避のためカヌーを北に向けて進む事にしました。
なるべく南方向の岸側に寄って進みたいのですが、風にあおられて岸側に寄りつけません。
それでも40分ほどでワンド内を抜けました。

ワンドを抜けるとダム湖の中心では南風が強烈に吹きまくる

ワンドを抜けてダム湖の中心部へ更に進むと、中心部ではワンド内と比べ物にならないほどの波が立っています。
波の高さは、ボートが通り過ぎて行った状態の大きな波です。
ダム湖の中心部では風の方向が南風に変わり、下船場所である東側に行きたいのですがカヌーが風に煽られて東側に進めません。
このまま波を切って進むと、ダム湖の中央辺りへ抜けることになりちょっと危険な状態になってしまいます。
戻ってもどうしようもないし、
どうしても5時までに下船したいし、
入船場所までは距離がありすぎてとても行けそうにありません。
やむを得ず、一番距離が近い隋道あたりのワンドを目指す事にしました。
隋道は、カヌーの位置からは南東の方向になります。

この方向ですと、右前方から波を受ける事になり、そのまま進むには危険が大きすぎます。
波の状態を見ながら、カヌーが波を正面から受けるように操船する必要があります。
オカマのヒーちゃんは前方に、私は後方で舵取りをしながら漕いでいます。
ここは、オカマのヒーちゃんに頑張って漕いでもらうしかありません。

すでに森茂川流れ込みからダム湖中央まで1時間ほどカヌーを漕ぎっぱなしです。
オカマのヒーちゃんはかなり疲れている様子でした。
でも頑張ってもらうしかありません。
カヌーは進んでいればなんとか波を乗り切れますが、止まった状態 では波にあおられて転覆の可能性があります。

「漕げー、死にもの狂いで漕げー」
「ヒエー」
「漕げ、漕げー漕がないと転覆するぞー」
「ヒエーーー」
二人とも必死の形相です。

大波が定期的に押し寄せるため、その度にカヌーの方向を波と直角になるよう切り替えます。
大波が続くため、カヌーの方向は南西の方向を向いたままです。
下船の予定地は、南東方向のためこれでは岸からどんどん離れてしまいます。
覚悟を決めました。
ちょっと危険ですが、カヌーを南東方向に向ける事にしました。
ある程度の速度が出ていれば何とか波は超えられると思います。

「漕げー漕げー漕げー」

「ヒエー、ヒエー、ヒエー」

二人とも、ありったけの力でパドルを漕ぎました。
オカマのヒーちゃんも怖がってばかりいられません、パドルを漕ぐのに必死の形相です。
私も当然必死です。

「漕げー漕げー漕げー」

風にあおられ漕ぐ事1時間あまり。
やっとの思いでダム湖の東側に着岸出来ました。
しばらくは二人とも放心状態で、疲れて口もきけません。
「なんで毎回こんな怖い目に会うのかな、もう絶対に釣りには来ないから」
オカマのヒーちゃんがそうつぶやいていました。
私も久しぶりに恐怖を味わいました。


御母衣ダム湖を渡るのは本当に怖いです。
渡るのは風が途切れる早朝か夕暮れにしましょう。